質問<2274>2005/4/5
ある都市の人口x(万人)は時間t(年)の関数で、xの増加する速度は その年の人口に比例し、平成m年にa万人であった人口が 平成n年にb万人になった。(0<m<n,0<a<b) (1)平成t年の人口x(t)を表す式をつくれ。 (2)この都市の人口が平成1年に30万人、平成11年に36万人 であったとすれば平成21年の人口は何人になるか。 宜しくお願いします。 ★希望★完全解答★
お便り2005/4/6
from=亀田馬志
質問ばっかじゃ悪いんで(笑)。 >ある都市の人口x(万人)は時間t(年)の関数で、 まずコレで ・x=f(t) ってのが分かりますね。 >xの増加する速度は 「速度」ってのは原則的に時間tに対するxの変化率を表してます。 変化率ってのは「単位時間内に対するxの増減」、すなわち、 ・xの単位時間毎の変化率={x_(2)-x_(1)}/{t_(2)-t(1)} (添え字1、2は任意、かつxはtの関数である事に留意。) =Δx/Δt の事ですね。中学校で習う『平均の傾き』の事です。 これの極限値が単純に言うと『瞬間速度』=『xのtでの微分』って事に なります。問題が微分方程式に付いてなんで当然ですよね(笑)。 ここでは『xの増加する速度』を ・dx/dt と表記してみます。 >xの増加する速度はその年の人口に比例し、 上で求めたdx/dtってのがxに比例してる、って言ってるワケです。簡単ですね。 ここでは適当な比例係数、kとでもしましょうか、を使って上の文章を 翻訳してみましょう。 ・dx/dt=kx・・・① お終いです(笑)。簡単でしょ? 物理的にはこれで終わりとしたいんですが(笑)、ちょっと解き方を考察してみます。 数学的にはテキトーな解説なんですが(笑)。 この形式の微分方程式を『線形微分方程式』と呼びます。 『線形って何だ?』って解説は他の人が(多分)してくれると思うんで(笑)、 単純に『次の解き方で解ける微分方程式を線形微分方程式と言う』とでも 覚えてくれてればイイです。 と言うか、高校では(物理も含めて)『線形微分方程式』以外の問題って出ない と思います。 まず予備知識として覚えておいて頂きたいのはd/dtってxをハズした部分は 『まるで係数(定数)のように扱える』って約束事です。 この部分を『微分演算子』と呼びます。ちょっと厳めしい呼び方ですが、 要するに『演算子』ってのは『ある計算の約束事を表した文字(書き方)』って 意味ですね。大した意味じゃないです。 そこで①を次のようにして見てみましょう。 ・dx/dt-kx=0・・・② 両方ともxが入ってるんで、何か括弧で括りたくなって来たでしょう? 括りたいですね?誘惑には勝てない主義なんで(笑)、括弧で括っちゃいます。 ・(d/dx-k)x=0 実はほぼコレで『解法』としてはお終いなんです。 ここで示唆されてる事、ってのは『d/dxって計算の約束事はkである』って ちょっと意味が分からない事です(笑)。これは一体何でしょうね? 実はこの方程式の形、ってのはある種基礎型で、このd/dt-k=0のスタイルって のが常にある関数を導き出す、ってれっきとした事実があるんです。 それはネピア数eの指数関数を示唆していて、 積分定数をAとした次の指数関数が常に『一般解(もしくは部分解)』である、 って事です。 ・x=Ae^(kt)・・・③ 数学的にはかなり端折ったんですが(笑)、これを覚えていさえすれば、 少なくとも『線形微分方程式』だったら2階だろうが3階だろうが全部解けます。 全部『因数分解の問題』に持ち込んで、アトは独立変数の係数が何なのかさえ 分かればイイ、って事です。 (1)いわゆる『初期条件』の問題です。 一般解③に与えられた条件(平成m年にa万人であった人口が平成n年にb万人に なった)を代入してこちらで勝手に決めた積分定数Aと係数kを書き換えるのが この問題の主眼です。 つまり、 ・Ae^(mk)=a…④ ・Ae^(nk)=b…⑤ と言う連立方程式を解けばイイ……んですが、メンド臭そうですね(笑)。 しょうがないんで、両辺ネピア数eを底とした対数(ln)でも取ってみましょうか? ・ln|Ae^(mk)|=ln|a|・・・④' ・ln|Ae^(nk)|=ln|b|・・・⑤' ここでln|xy|=ln|x|+ln|y|ってのはご存知ですよね? よってまたもや書き換えます ・ln|A|+mk=ln|a|・・・④'' ・ln|A|+nk=ln|b|・・・⑤'' となります。ここでln|e^(mk)|=mkになるのはイイですか?nkも同じです。 さて、ここまで来たんで、調子に乗って行列化したいと思います。 ちょっと見づらいですが、 (1 m)(ln|A|) (ln|a|) (1 n)( k )=(ln|b|)......⑥ ここでやっとAX=Yのカタチに持ち込めましたんで、このまま解きたいと思います。 『クラメールの公式』ってのを使います。知ってますかね?知らなければ ・・・多分『行列』の項目に書いてあるんじゃないかしら?取りあえず解説長くなるんで、 分からなかったらアトで質問して下さい。 クラメールの公式より解は次のようになります。 ・ln|A|=ln|(a^n/b^m)^{1/(n-m)}|・・・⑦ ・k=ln|b/a|/(n-m)・・・⑧ ⑦の方はlnハズせますね。よって、ココで求められたAとkの値を③の一般解に 代入して作業は終わりです。 解は(計算間違いさえしてなければ)次のようになるハズです。 ・x=[(a^n/b^m)^{1/(n-m)}]*[(b/a)^{t/(n-m)}] ややこしい解ですね(苦笑)。どなたか検算お願いします(笑)。 (2)基本的に(1)の解に実値を代入してみろ、って問題ですね。 m=1、a=30万、n=11、b=36万って事です。 手算じゃメンド臭いんで、エクセル君の力を借りてみます。(笑)。 ・A=(a^n/b^m)^{1/(n-m)} =(30万^11/36万^1)^{1/(11-1)} =294579.9 ・b/a=36万÷30万 =1.2 ・n-m=11-1 =10 これでパーツとしては充分でしょう。xは ・x=294579.9×1.2^(t/10) となります。ここにt=21を代入すればイイワケです。 ・x=294579.9×1.2^(21/10) =43万2千人 以上です。 読みづらくってすいません。