質問<704>2001/11/23
領域の内外で、点Pが単純多角形の内部であるか外部であるかを判定するとき、 「点Pを原点として多角形の頂点を順に眺めたときの偏角の和が2πであれば 内部、0であれば外部である」という定理は存在するのですか? 意味はわかるのですが、証明が出来ません。 回答お願いします。
お返事2001/11/26
from=武田
どういう公式から出てくるのかは分かりませんが、 n角形の内部の点Pから眺めると、偏角の和が2πとなるのは、 以下のようにして示すことが出来ると思います。 点Pからn角形の頂点へ線を引くと、三角形がn個できる。 これらの全ての三角形の内角の和は、180°nとなる。また、点Pとは関係なく、n個の頂点を結んで、三角形に分割すると、 (n-2)個の三角形ができるから、これらの三角形の内角の和は 180°(n-2)となる。
上から下を引くと、点Pにおける偏角の和が求まるから、 180°n-180°(n-2)=180°(n-n+2) =180°×2=360°=2π ………(答) ※しかし、残念ながら、外部の点Qからの偏角の和が0となるのは わからない。誰かアドバイスを? 村嶋さんからアドバイスが届きました。
お便り2001/11/28
from=かおり
分かりやすい証明ありがとうございました。 なるほど納得!でした。 でも、多角形の外部に点が存在するときの証明に関しては、学校の先輩方 にも聞いてみたのですがやっぱり「???」 といった感じでした。 どうしたものでしょうかねぇ…。
お便り2001/11/27
from=村嶋健吾
図のように多角形ABCDEFがあったとします。 多角形の辺上を点Pが一方通行で動いていて、 点Oの位置にはあなたがいて、あなたは点Pの動きを目で 追っていると想像してください。 点Pは、多角形の内部を左に見ながら辺上を一周します。 (「内部を左に見ながら」は数学をやる上での決まりです。) 点Oが内部にあるとき(左側の図)は、偏角の和は、 ∠AOB+∠BOC+∠COD+∠DOE+∠EOF+∠FOA=2π になります。 角は左回りをプラスと考えるのが決まりです。ですから、 2πであって、-2πにはなりません。 一方、点Oが外部にあるとき(右側の図)は、偏角の和は、 やはり ∠AOB+∠BOC+∠COD+∠DOE+∠EOF+∠FOA なんですが、右回りの角はマイナスと考えるのが決まりで あることに注意して下さい。 ついつい角はすべてプラスだと思ってしまうというのなら、 ∠AOB+∠BOC+∠COD+(-∠DOE)+(-∠EOF)+∠FOA とした方がいいかもしれませんね。 いずれにしても、この和は0(ゼロ)になります。 (ちゃんと証明しようとするなら、この多角形が ∠FODの中にスッポリ入ることに注意して、証明を書くと いいでしょう。) くだくだ証明を書かなくても上のことは明らかです。 だって、左図では点Pを見ているあなたは首を一回転しなく てはいけませんが、右図では首を左に向けて右に向けて元の 位置に戻ってくるじゃありませんか。 この定理を一般化したものを「偏角の原理」と呼び、複素関数論 に出てきます。