質問<3200>2006/5/23
いつもお世話になってます。 既出だったら申し訳ないのですが、見つけられなかったので、質問させてください。 (1)y=e^sin^(-1)xについて次に答えよ。 (a) (1-x^2)y''-xy'-yを計算せよ。 (b) (a)の結果の両辺をk回微分せよ。 (c) y^(n) (0)を求めよ。 (2)次の導関数を求めよ。 (a) y=(sinx)^cosx (b) y=xtan^(-1)x-1/2log(1+x^2) (c) y=log(x+√(x^2+1) です。微分はチンプンカンプンなんでご指導の方よろしくお願いします。 ★希望★完全解答★
お便り2006/6/15
from=亀田馬志
>微分はチンプンカンプンなんで ちょっと意味が分からないコメントですね。 もし解析の授業を受けていて「微分はチンプンカンプン」だったらこれは問題です。教科書 を読んだ方がイイでしょう。 もし趣味で微積に関わっていらっしゃるなら、もっと落ち着いて「楽しんで」教科書を読む べきでしょうね。 「ちょっとだけ微積の世界を覗いてみたい」のも悪くはありませんが、でしたら難問に手を 出すべきではありません・・・・と言いたいトコロですが、コンピュータソフトを使えば意外 と簡単に「微積の世界」を覗けるものです。 ってなワケで、ここではフリー数式処理ソフトMAXIMA(ウィンドウズ版)を利用し て問題を見てみましょう。これなら「微分はチンプンカンプン」でも見よう見まねで解く事 が出来ますし、ましてや「微分はチンプンカンプン」ならここで微分の解説をするのもアレ ですし、だったら初めから教科書を読んだ方がマシだからです。 MAXIMAを英語の指示(と言っても簡単な英語ですが)に従ってダウンロード/イン ストールすると、デスクトップ上にアイコンが出来る筈です。それをダブルクリックすると、 Maxima 5.9.3 http://maxima.sourceforge.net Using Lisp GNU Common Lisp (GCL) GCL 2.6.7 (aka GCL) Distributed under the GNU Public License. See the file COPYING. Dedicated to the memory of William Schelter. This is a development version of Maxima. The function bug_report() provides bug reporting information. (%i1) と書かれた画面が立ち上がります。これで起動は成功です。 (%i1)と言うのは一種のプロンプトで「入力待ち」と言った意味です。ここのアトにコマン ドを入力していけばMAXIMAが全て計算してくれます。ではやってみましょう。 >(1)y=e^sin^(-1)xについて次に答えよ。 >(a) (1-x^2)y''-xy'-yを計算せよ。 MAXIMAでの微分コマンドは diff(関数,微分したい変数) です。 ここで次のように(%i1)のアトにセミコロン(;)まで入力して下さい。 (%i1)y:exp(asin(x)); ここでMAXIMAの約束事ですが、 y:⇒yと言う変数名で以下の式を定義せよ exp()⇒ネピア数eの指数関数 asin()⇒三角関数の逆関数、arcsinの意味 です。つまり問題文のy=e^sin^(-1)xそのものを打ち込んでるんですね。ではリターン キーを押して下さい。 asin(x) (%o1) %e と言った出力が表示される筈です。これはまさしくy=e^sin^(-1)xの事で、この時点では 微分もクソもありません。単にyと言う関数を定義しただけ、ですね。 ところで(%o1)が出力されたアト、同時に(%i2)と言った記号も出力されている筈です。 これは新しい入力待ち、ですね。ここにまたコマンドを打ち込めば別の計算を行ってくれ るワケです。 いよいよ微分してみましょう。次のコマンドをセミコロン(;)まで打ち込んでみましょう。 (%i2) y1:diff(y,x); ここでは新しく関数y1を定義しています。内訳は、「yをxで微分したもの」です。yは先ほ ど(%i1)で定義した関数ですね。 リターンキーを押すと次のように出力してくれます。 asin(x) %e (%o2) ------------ 2 sqrt(1 - x ) つまり与えられたyの1階微分は y'=exp(arcsin(x))/√(1-x^2) のようです。 また入力待ち(%i3)が表示されているでしょうから、今度はまた新しい関数y2を次のよう に入力してみましょう。 (%i3) y2:diff(y1,x); y2は「y1をxで微分したモノ」です。これが2階微分になりますね。 リターンキーを押すと、 asin(x) asin(x) %e x %e (%o3) --------- + ----------- 2 2 3/2 1 - x (1 - x ) つまり2階微分y"は y"=exp(arcsin(x))/(1-x^2)+x*exp(arcsin(x))/{(1-x^2)^(3/2)} のようです。 では、また入力待ち(%i4)があるでしょうから、問題の関数をaとして定義してみましょうか。 (%i4) a:(1-x^2)*y2-x*y1-y; リターンキーを押すと、 asin(x) asin(x) asin(x) 2 %e x %e x %e (%o4) (1 - x ) (--------- + -----------) - ------------ 2 2 3/2 2 1 - x (1 - x ) sqrt(1 - x ) asin(x) - %e つまり(a)の解は (1-x^2)*【exp(arcsin(x))/(1-x^2)+x*exp(arcsin(x))/{(1-x^2)^(3/2)}】 -x*exp(arcsin(x))/√(1-x^2)-exp(arcsin(x)) となります。 見辛いようでしたら、式を展開する事も出来ます。 式を展開する場合のコマンドは expand(展開したい式); で記述できるので、(%i5)のアトで (%i5) expand(a); と入力してリターンキーを押すと、 asin(x) 2 asin(x) asin(x) x %e x %e %e (%o5) - ------------ - ------------ + --------- 2 2 2 sqrt(1 - x ) 1 - x 1 - x 3 asin(x) asin(x) x %e x %e asin(x) - ------------ + ----------- - %e 2 3/2 2 3/2 (1 - x ) (1 - x ) と数式を展開してくれます。 >(b) (a)の結果の両辺をk回微分せよ。 >(c) y^(n) (0)を求めよ。 (a)で関数aを定義したので、 a1:diff(a,x); a2:diff(a1,x); a3:・・・・・・ と計算していけば規則性が見えてくるかもしれません。 お試し下さい。 (2)次の導関数を求めよ。 (a) y=(sinx)^cosx (b) y=xtan^(-1)x-1/2log(1+x^2) (c) y=log(x+√(x^2+1) これらもMAXIMAにコマンドを打ち込めば一丁上がりでしょう。ご自分で試して みてください。 なお、コマンドは (a) diff(sin(x)^cos(x),x); (b) diff(x*atan(x)-1/2*log(1+x^2),x); (c) diff(log(x+sqrt(x^2+1)),x); です。 参考文献: MAXIMA日本語マニュアル MAXIMAの手引き Maxima入門ノート
お便り2006/6/15
from=BossF
「微分はチンプンカンプン」では質問に答えようがないですね(何を使って何処から話し たらいいか分からないからです) 高次導関数が出てきてますから大学生と思いますが 高校の教科書などで、合成関数の微分などを確認なさるのが先決でしょう(或いはその 単位を諦めるか) 問題としては、きわめて基本的なものなんですよ。(だからどなたも、答えようがなかっ たんでしょうね)
お便り2006/6/17
from=ZELDA
(1)については、できませんでした。 (2)については、できましたので、回答させていただきます。 (a) 両辺の自然対数をとると logy=(cosx)log(sinx) 各辺をxについて、微分すると y'/y=-(sinx)log(sinx)+(cosx)^2/sinx したがって、求める導関数は y'=-(sinx)^(1+cosx)log(sinx)+(cosx)^2(sinx)^(cosx-1) (b) y'=arctanx + x/(1+x^2) - (1/2)*2x/(1+x^2) =arctanx (c) y'=[1+{2x/2√(1+x^2)}]/{x+√(1+x^2)} ={x+√(1+x^2)}/[x+{√(1+x^2)}*{√(1+x^2)}] =1/√(1+x^2)
お便り2006/8/29
from=maro
質問〈3200〉の(1)y=e^sin^(-1)xの問題で yをxで微分したy'=exp(arcsin(x))/√(1-x^2) までは自力で解けましたが、 y"=exp(arcsin(x))/(1-x^2)+x*exp(arcsin(x))/{(1-x^2)^(3/2)} の特に分母についている3/2乗がどうしたらでてくるのか皆目見当がつきません。 詳しい解説をお願いしねがいします。
お便り2006/8/31
from=UnderBird
お便り2006/9/2
from=maro
UnderBirdさんKINOさんありがとうございました。 (a)ですがなんとか解けたのですが、突詰めた結果が 0になってしまいました。 ですので(b)の問題は0をいくら微分しても0になってしまい解答にはなりません。 (1-x^2)y''-xy'-yを微分するにしても「ライプニッツの公式」を使うにしても 0からどうやって手をつけていいのかわかりません。 詳しく説明をお願いします。
お便り2006/9/2
from=KINO
訂正です。 合成関数の微分をした結果出てくるものです。 y'={(1-x^2)^(-1/2)}*exp(arcsin(x)) を微分すると, y''={(1-x^2)^(-1/2)}'*exp(arcsin(x))+{(1-x^2)^(-1/2)}*{exp(arcsin(x))}' です。問題の箇所は {(1-x^2)^(-1/2)}' の部分だと思いますが, これは u(w)=w^(-1/2),w=1-x^2 と2つの関数の合成に分解すると, (x^a)'=ax^(a-1) という基本的な関数の導関数の公式を用いることにより, du/dw=(-1/2)u^(-1/2-1)=(-1/2)u^(-3/2), dw/dx=-2x となるので, {(1-x^2)^(-1/2)}'=du/dx=(du/dw)*(dw/dx)=(-1/2)*{u^(-3/2)}*(-2x) =x*u^(-3/2)=x*(1-x^2)^(-3/2) となります。 これが「分母についている3/2乗が」でてくる理由です。 なお,ついでながら,(1) (a) はちょっと違った方法で解くことができます。 まず,y'={(1-x^2)^(-1/2)}*y と表せることから, {(1-x^2)^(1/2)}*y'=y となります。 この両辺を x で微分すると -x*{(1-x^2)^(-1/2)}*y'+{(1-x^2)^(1/2)}*y''=y'={(1-x^2)^(-1/2)}*y となるので,両辺に (1-x^2)^(1/2) をかけて整理すると, (1-x^2)y''-xy'=y が得られます。よって (1-x^2)y''-xy'-y=0. (b) は関数の積に関する高階導関数の公式 {f(x)g(x)}^(n) =f^(n)(x)g(x)+n*f^(n-1)(x)g'(x)+{n(n-1)/2}*f^(n-2)(x)g''(x)+...+f(x)g^(n)(x) を利用して解きます。 この公式は「ライプニッツの公式」として教科書に載っていると思いますので ご確認下さい。 y'' の係数の 1-x^2 は2次式なので,3階以上の導関数は 0 になります。 また,y' の係数 -x は2回以上微分すると 0 になります。 これらのことに注意してライプニッツの公式を適用すると,k≧2 に対し {(1-x^2)y''}^(k)=(1-x^2)y^(k+2)-2kxy^(k+1)-k(k-1)y^(k), (xy')^(k)=xy^(k+1)+ky^(k) となりますので,(1-x^2)y''-xy'-y=0 の両辺を k 回微分することにより, (1-x^2)y^(k+2)-(2k+1)xy^(k+1)-{k(k-1)x+k+1}y^(k)=0 を得ます。この等式は k=0, 1 のときにも成立することを容易に確かめることが 出来ます。 (c) y(0)=y'(0)=1 であり,y^(k+2)(0)=(k+1)y^(k)(0) であることから,k≧1 に対し y^(2k+1)(0)=(2k)*y^(2k-1)(0)=...=(2k)(2k-2)(2k-4)*...*2*y'(0) =(2k)(2k-2)(2k-4)*...*2 となります。 また, y^(2k)(0)=(2k-1)y^(2k-2)(0)=...=(2k-1)(2k-3)*...*3*1*y(0) =(2k-1)(2k-3)*...*3*1 となります。