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はじめまして。次の問題をお願い致します。 (問)確率変数Xの分布がP(X=k)=1/3(k=0,1,2)であるとき,Y=2X-1とおく. X分布関数Fx(x)と分布関数Fy(x)を求めよ. 全く分からないので、宜しくお願い致します。 ★希望★完全解答★
お便り2005/6/3
from=亀田馬志
最近『確率・統計』ようやく分かって来たんで(笑)、調子乗って
『未解決問題』手を付けてみましょうか(笑)。ホイでは行ってみましょう。
(問)確率変数Xの分布がP(X=k)=1/3(k=0,1,2)であるとき,Y=2X-1とおく.
X分布関数Fx(x)と分布関数Fy(x)を求めよ.
こんな問題見たら『確率・統計』苦手な人間詰まっちゃいますよね(笑)。僕も
そうです(笑)。
まず用語の問題から整理してみましょう。
>>確率変数Xの分布
と書いてますが、最後の
>>X分布関数Fx(x)と分布関数Fy(x)
と同じでは無いんです。ここが『確率・統計』の用語が難しいトコです。
前者のPってのは『確率分布』ですが、通常単に『分布関数』ってのは
『累積分布関数』
の事を指します。要するに
『確率分布≠分布関数』
なんです。確率分布と分布関数ってのは別物なんですよね。(丸っきり関係無い、
ってワケでもないんですが。)
ここで確率分布をf(x)、分布関数をF(x)としたトキ、両者の関係は
・F(x)=Σf(x)
または
・F(x)=∫f(x)dx
で表されます。前者は飛び飛びの値しか取らない確率分布f(x)を使った場合の分布
関数の定義、後者は連続した値を取る確率分布f(x)の場合の分布関数の定義です。
そして後者のようなf(x)を通常、確率分布の代わりに『確率密度関数』、または単
純に『密度関数』等と呼んだりします。ここまで用語の整理は宜しいでしょうか?
(正直、これらの“名前”はホント混乱します。どうして数学者が通常“用語の定義”
にうるさいのか、と言うとこー言った混乱が起こるから、です。そう言った意味で
は、確率・統計の場合は応用数学として発展して来た側面がある為か、純数学者だけ
じゃないヒト達が大勢関わってきた為、用語が“数学”としてはワリとグチャグチ
ャな印象がありますね・笑。)
>確率変数Xの分布がP(X=k)=1/3(k=0,1,2)である
まず確率分布f(x)を求めてみましょう。とは言っても、計算全然必要じゃないです
(笑)。このテの問題の場合はグラフ描いた方が手っ取り早く理解出来ます。と言う
のも幾何的に解釈出来るからです。
まず、x-f(x)グラフを描いてみようと思います。この条件が示唆してる事は
『確率変数Xが0と言う値を取る確率は1/3、1と言う値を取る確率は1/3、2と言う値
を取る確率が1/3である』
って言ってるんです。この条件をそのままグラフにプロットしてみます。要するに
x-f(x)グラフ上に
(x,f(x))=(0,1/3),(1,1/3),(2,1/3)
って点をプロットします。コレがこの問題に対しての確率分布f(x)です(笑)。
以上です。マジです(笑)。
この様な『飛び飛びの点』で表せる確率分布を『離散型確率』って呼びます。
しかしながら、通常教科書等で『グラフ』で表現する場合、一応線で結んでみたり
するようですね(笑)。何故なら『見やすい』からですし、『読者が不安に陥らない』
為です(笑)。と言うワケでちょっと線で結んでみましょうか?
線で結ぶ場合気をつけるのは定義域が(0≦X≦2)である、って事です。つまりX<0
とX>2の範囲では『確率分布は存在しません』。また、今便宜上線で結びましたが、
実際は0<X<1、1<X<2の範囲でも『確率分布は存在しません』。それをアタマに
入れておいて下さい。
便宜上線で結んだ確率分布f(x)は
・f(x)=1/3 (0≦X≦2)
と言う『定数関数』である、とみなす事が出来ます。つまりこの場合の『確率分布』
ってのは確率変数Xの関数では無いんです。『Xの値に左右されてない』ってワケです
ね。さて、『確率統計』勉強してるヒト、特に『マジメに勉強してたヒト』に限って
(笑)、
・f(x)=1/3 (0≦X≦2)
なんて『定数関数の確率分布なんてあるのか???』と疑問に思うかもしれません。
しかし実は数学的にはある一つの条件さえ満たせばいくらでも『確率分布』なんて
のは『捏造可能』なんです。それは、離散型確率の場合、
・f(1)+f(2)+f(3)+・・・・・・f(n)=1(100%)
を満たす事。そして連続型確率の場合、積分区間を任意として、
・∫f(x)dx=1(100%)
である事です。逆に言うと、上の条件を満たせば『何でも確率分布として』認めてあ
げちゃっても構わないんです(笑)。所詮単なる『関数』なんですよ(笑)。しかしなが
ら、『現実を上手く説明出来る関数』を特に『確率・統計』では確率分布として扱っ
てるんです。言わば現実に即した『応用数学』としての側面が『確率・統計』では色
濃く出てるんでしょう。
今回の問題の場合は定義域内に於いて、
・f(0)+f(1)+f(2)=1/3+1/3+1/3
         =1
ってのを満たしています。よってコレは立派な『確率分布』になるんです。
さて、そうなると、
>>Xの分布関数Fx(x)
ってのは定義から考えると
・Fx(x)=Σf(x)
   =Σ(1/3)  (k=0,1.2)
って事です。アッサリしてるでしょ(笑)?
しかし実際には『Xの関数として求めよ』って事でしょうから、便宜上定数関数である
・f(x)=1/3
を不定積分してみましょう。
・Fx(x)=∫f(x)dx
   =∫(1/3)dx
     =(1/3)*∫dx
   =(1/3)x+C(積分定数)・・・①
となって分布関数Fx(x)の概形は分かりました。そこで(物理用語で言う)初期条件を
考えてみます。先ほど
・f(0)+f(1)+f(2)=1
と書きました。要するにx=2のトキ、Fx(2)=1ってのが条件になるワケです。コレら
を①に代入すると、
・(1/3)*2+C(積分定数)=1
∴C(積分定数)=1/3
よってXの分布関数Fx(x)は
・Fx(x)=(1/3)x+1/3 (x=0,1,2)
ってのが答えになります。
重ねて言っておきますが、分布関数Fx(x)も連続した定義域/値域は持っていません。
>>Y=2X-1とおく.分布関数Fy(x)を求めよ.
さて、ここで分かるのはx=0のトキy=-1、x=1のトキy=1、x=2のトキy=3です。
そして、xがそれぞれの値を取る確率はそれぞれ1/3です。従ってyがそれぞれの値を
取るのもxの確率に従います。つまりヤッパリそれぞれの値を取る確率も1/3なんです
よね。そうすると、先ほどの通り、y-f(y)グラフってのを作ってみましょうか。
点としては
・(y,f(y))=(-1,1/3),(1,1/3),(3,1/3)
をプロットする事になります。コッチの確率分布f(y)もやっぱり
・f(y)=1/3
って定数関数になります。そこまで分かればアトは簡単ですよね(笑)。
考え方は同じなんで、計算は端折りますが、Yの分布関数Fy(Y)は
・Fy(Y)=(1/6)*Y+1/2 (Y=-1,1,2)
となります。当然この関数も飛び飛びの値しか持ちません。
アトはY=2X-1を代入してFy(Y)をxの関数に書き換えればイイだけです。
・Fy(Y)=Fy(2x-1)
   =(1/6)*(2x-1)+1/2
   =(1/3)x+(1/3)
   =Fy(x)=Fx(x) (x=0,1,2)
要するに同じ『確率分布』に従ってるんで累積分布関数も全く同じカタチになるん
です(笑)。
以上です。
 
 
 
 
