質問<316>2000/9/4
from=文系学生
「因数分解」


武田先生、失礼します。
高校の数学を忘れてしまっていて、因数分解の初歩的な質問で恐縮なの
ですが、例えば、(X-3)(Xの2乗+X+3)が、もうこれ以上、因数分解で
きないというのは、どのようにして判断するのでしょうか?

単に、因数分解の公式である以下のパターンで解けなければ、
ふつうは因数分解できないと考えてしまうとかですか?

a2+2ab+b2=(a+b)2
a2-2ab+b2=(a-b)2
a2-b2=(a+b)(a-b)
X2+(a+b)X+ab=(X+a)(X+b)
acX2+(ad+bc)X+bd=(aX+b)(cX+d)
a3+b3=(a+b)(a2-ab+b2)
a3-b3=(a-b)(a2+ab+b2)

「a2」「X2」「a3」は、aの2乗、Xの2乗、aの3乗として書いています。
見にくくなってしまい、すみません。


お返事2000/9/5
from=武田


因数分解は、n次式の時は最高n個の1次式の積となるわけだが、
因数定理や組立除法や因数分解の公式などを使って、計算していく。
特に因数定理が大いに役立つ。
例えば、x3 -2x2 -9という3次式のとき、
定数項(-9)の絶対値9の素因数分解9=32 より、
30 =1、31 =3、32 =9の
正負も考えた6個の数を取ってきて、
f(x)=x3 -2x2 -9に、
代入する。
f(1)=1-2-9=-10≠0
f(-1)=-1-2-9=-12≠0
と言う具合に0となるまで計算していく。
f(3)=27-18-9=0より、(x-3)が因数であることが分かる。
f(-3)=-27-18-9=-54≠0
f(9)=729-162-9=558≠0
f(-9)=-729-162-9=-900≠0
他には見つからないから、これ以上因数分解できないだろうと何となく決める。
組立除法より、                     ^^^^^^^
1 -2  0 -9 |3
   3  3  9  ̄ ̄
─────────────
1  1  3| 0
x2 +x+3

この2次式x2 +x+3は判別式D=b2 -4ac
を使えば、実数解があるかどうか分かる。
D=1-4・1・3=-11<0
マイナスより、実数解はない。
(虚数解ならあるが、ここではふれない。虚数解を許すならば、クンマーの因数
分解が使える。これは、n次式はn個の1次式の積で表せる。質問<1>の野崎
先生のお便り参照)

したがって、この2次式は因数分解できないので、
問題の3次式は
x3 -2x2 -9
=(x-3)(x2 +x+3)
となる。


お便り2000/10/6
from=文系学生
「組立除法と単なる割り算」


武田先生、失礼します。

質問<316>に頂いた回答についての質問なのですが、
回答では組立除法を使っておられますが、ここを単なる割り算で解いて
しまってはいけないのですか?

具体的にいいますと、x3 -2x2 -9を因数分解する
方法として、まず因数定理でx-3で割り切れることを見つけて、
それから組立除法を使わずに単なる割り算を使って、

    x2 +x+3
   _________
x-3|x3 -2x2 -9
    x3 -3x2 
   _____
       x2 
       x2 -3x
       _____
         3x-9
         3x-9
         ____
                      0

とやって、それから、
この解答x2 +x+3を判別式にかけて、これ以上因数分解できない
ことを確認して、
x3  -2x2  -9=(x2 +x+3)(x-3)
としては何か不都合があるのですか?

組立除法と、単なる割り算の違いは何なのでしょうか?


お返事2000/10/6
from=武田


「組立除法」と、単なる「わり算」は、同じです。
イギリスのホーナーという数学者が発明したのが、この「組立除法」
という簡便法です。あくまでも簡便法ですから、好きだったら使って
ください。当然、単なる「わり算」でやって正解です。