質問<2182>2005/1/30
(1)a+b≧a2乗-ab+b2乗を満たす正の整数の組(a,b)をすべて求めよ。 (2)a3乗+b3乗=p3乗を満たす素数pと正の整数a,bは存在しないことを示せ。 早稲田の問題です。お願いします。 ★希望★完全解答★
お便り2005/2/2
from=KINO
(1) 条件の不等式がせっかく a と b に関して対称なので,それを生かしたまま 扱いやすい同値な不等式に変形することを考えます。 (いろいろ試行錯誤したうえで下記のような方法にたどり着いたわけですので, こうしたうまい式変形を思いつかなくても,たとえば a≦b と仮定しておいて, a と b の捜索範囲を絞るなどといった処理ができないと試験時間内に解けない でしょうね。) a+b-ab≧(a-b)^2 より,(a-b)^2+ab-a-b≦0. 両辺に 1 を加え,ab-a-b+1=(a-1)(b-1) を用いると(この因数分解は覚えておく といいかも), (a-1)(b-1)+(a-b)^2≦1. m=a-1, n=b-1 とおくと,不等式 mn+(m-n)^2≦1 をみたす非負の整数 m, n の組 を求めることになる。 mn≧0 かつ (m-n)^2≧0 より,特に 0≦mn≦1 でなければならないから,mn=0 と mn=1 の場合について調べる。 mn=0 のとき,m か n のいずれかが 0 であり,他方を k とおくと, (m-n)^2=k^2≦1 でなければならない。 よって,k は 0 か 1 でなければならない。 ゆえに (m,n)=(0,0), (1,0), (0,1). mn=1 のとき,m=n=1 しかありえず,このとき m-n=0 なので不等式をみたす。 ゆえに (m,n)=(1,1). a=m+1, b=n+1 より,(a,b)=(1,1), (2,1), (1,2), (2,2). (2) たぶん (1) の結果を利用するのでしょう。 (1) で求めた (a,b) の組を代入してみると,a^3+b^3 の値は (1,1) --- 2, (1,2) または (2,1) --- 9, (2,2) --- 16 となり,どれも素数の3乗にはならない。 (1) で求めた組以外の正の整数の組 (a,b) では a^2-ab+b^2 > a+b が成立する。 因数分解をすると,(a+b)(a^2-ab+b^2)=p^3. ここで,次の事実が成り立つことに着目する: 「c, d を c > d なる正の整数,p を素数とするとき,cd=p^3 ならば c=p^3, d=1 あるいは c=p^2, d=p である。」 まずこのことを示そう。 cd=p^3 ならば特に cd は p の倍数。 p が素数であるから c または d のいずれかが p の倍数でなければならない。 (i) c のみが p の倍数の時は,正の整数 k を用いて c=kp とおける。 すると p^3=cd=kpd より,p^2=kd. d は p の倍数でないのだから, k が p の倍数でなければならず,正の整数 m を用いて k=mp とおける。 よって p^2=kd=mpd. これより p=md. m も p の倍数で,正の整数 n を用いて m=np と書ける。ゆえに c=np^3. つまり c は p^3 の倍数であり,np^3=c≦cd=p^3 より n=1 かつ d=1 を得る。 (ii) d のみが p の倍数の時,(i) と全く同様にして c=1 かつ d=p^3 を得るが, これは c > d に反するので不適。 (iii) c も d も p の倍数であるとき,c=mp, d=np とおくと, p^3=cd=mnp^2 より p=mn. すなわち,m と n は p の約数。p は素数で, c > d より m > n でなければ ならないから m=p, n=1 となる。よってこのとき c=p^2, d=p. さて,c=a^2-ab+b^2, d=a+b とみなせば, (I) a^2-ab+b^2=p^3, a+b=1 か (II) a^2-ab+b^2=p^2,a+b=p の2つの場合しかない。 ここで,p^3=a^3+b^3=(a+b)^3-3ab(a+b) であり,a も b も正の整数であるから, (a+b)^3=p^3+3ab(a+b)≧p^3+3ab(a+b) > p^3. よって a+b > p でなければならない。 したがって,(I),(II) の場合はいずれも a+b ≦p となり,矛盾する。 早稲田大学の入試問題とのことでしたので調べてみたら,例えば http://hiw.oo.kawai-juku.ac.jp/nyushi/honshi/99/ に詳しい解答が載っていました。 上に述べた解答とほとんど同じでしたので, あえてだらだら書き連ねなくてもよかったのかもしれませんが・・・。
お便り2005/2/3
from=風あざみ
(1) a≧bとしても一般性を失わないので以後、そう考える。 b≧2のとき 必然的にa≧2となる。 a^2-ab+b^2-(a+b)=(a-b)^2+ab-a-b≧(a-b)^2+(a-1)(b-1)-1≧0 等号はa=b=2のときのみ成立する。 よって、a+b≧a^2-ab+b^2となるのは、a=b=2の場合のみである。 b=1のとき a=1のとき 2=a+b≧a^2-ab+b^2=1となる。 a≧2のとき a^2-a+1-(a+1)=a^2-2a=(a-1)^2-1≧0 等号はa=2の場合のみ成り立つ。 よって、a+b≧a^2-ab+b^2となるのは、a=b=1,a=2,b=1の場合のみである。 a≦bの場合も同様に考えて、a=b=2、a=b=1、a=2,b=1、a=1,b=2の場合のみ、 a+b≧a^2-ab+b^2となることがわかる。 (2) (a+b)(a^2-ab+b^2)=p^3 a+b>1より a+b=pの場合、a+b=p^2、p^3の場合に分かれる。 a+b=p^2あるいはp^3のとき 必然的にa^2-ab+b^2=pあるいは1となるので a+b≧a^2-ab+b^2となることがわかるが (1)よりそれはa=b=2、a=b=1、a=2,b=1、a=1,b=2に限られる このときa^3+b^3=2、9、16となって、いずれも素数の3乗にならず不適 a+b=pの場合 a^2-ab+b^2=p^2 (a+b)^2-3ab=p^2 3ab=0 a=0あるいはb=0となって、pが自然数であることに反する。 よって示された。