質問<135>99/4/25
はじめまして。 突然ですが宿題なのに判らなくて困っています。 複素数平面上においてzは原点を中心とする半径1の円周上を 動く。 z -i w=___ z-1-i とおく 点Zの描く曲線と絶対値wの最大値とそのときのzの範囲を求 めよ。 という問題を教えて下さい。
お返事99/4/27
from=武田
複素数関数は大学で学ぶので、私には難しすぎます。しかし、 答えられないのも悔しいので、コンピュータで作図を試みま した。すると下図のようになりました。z=1のとき、w=1+i 左向きに単位円上を回転しながらz=iに近づくと、 wはiを中心とした半径1の円を描きながら左側から0に近 づいていく。 さらに、zが-1に近づいていくと、wは3/5+1/5iに近づき、 zが-iに近づくと、wは4/5+2/5iに近づき、zが1に戻る と、wは1+iに戻る。wの円は左回転で描き、スピードは はじめ大きく、あとほど小さくなります。 上の軌跡は、ソフト「十進BASIC」のプログラムの中に あった複素数のを利用しました。 wの絶対値は原点からの距離だから、最大値はw=2iのと ころである。z=4/5+3/5i のとき、|w|=2……(答)
お便り99/8/30
from=村嶋健吾
帰りの車の中で、途中までした話の続きです。 途中で終わって、気がかりなので、筆を執りました。 (武田談:学習会の帰りの車の中で、話題になったものを 手紙に書いて送ってくれました。レポート用紙4枚に及ぶ ものですが、wが円とは予想つかないのを前提にした方の ^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^ 内容を要約して掲載します。有り難うございました。) なお、この質問の一般形 az+b w=──── cz+d (ad-bc≠0)は、1次変換またはメビウス変換といい、 これは、円円対応の性質があることを初めに紹介しておく。 さて、まず与えられた変換の逆変換を考える。 (1+i)w-i z=──────── w-1 _ {(1+i)w-i}(w-1) =─────────────── _ (w-1)(w-1) _ _ (1+i)ww-i(w+w)-w+i =───────────────── _ _ ww-(w+w)+1 ここで、z=x+iy、w=ξ+iηとおく。 両辺の実部と虚部を比較して、 ξ2+η2-ξ x=────────── ξ2+η2-2ξ+1 ξ2+η2-2ξ-η+1 y=───────────── ξ2+η2-2ξ+1 ここで、分母のξ2+η2-2ξ+1≠0に注意する。 =(ξ-1)2+η2 x2+y2=1に代入する。分母を払えば、 (ξ2+η2-ξ)2+(ξ2+η2-2ξ-η+1)2=(ξ2+η2-2ξ+1)2 ここで、ξ2+η2-2ξ+1=A(≠0)とおけば、 {A+(ξ-1)}2+(A-η)2=A2 A2+(2ξ-2η-2)A+(ξ2-2ξ+1+η2)=0 A2+(2ξ-2η-1)A=0 A≠0で両辺を割って、 A+(2ξ-2η-1)=0 ξ2+η2-2ξ+1+(2ξ-2η-1)=0 ξ2+η2-2η=0 ξ2+(η-1)2=1 軌跡の点は、中心i、半径1の円周上にあることが分かる。 この逆も言える(省略)ので、 wの軌跡は|w-i|=1である。
お便り99/8/31
from=関谷敏雄
武田先生こんばんは。先日はごていねいなメールをありが とうございました。私の方のHPにはまだまだ訪ねてくれる 人が少なく、あちこちのネットで宣伝してまわっているとこ ろです。これからもよろしくお願いします。 さて、質問135については、以前先生のホームページに 出たときに解答を考えていました。メールを出すタイミング を逸してしまいまして、今更蛇足になりますが、コメントさ せていただきます。 なお、村嶋健吾先生の解答でも指摘されていますが、1次 分数変換では円は円に対応します。それについては、以下の ような本が参考になります。 高木貞治 著 「代数学講義 改定新版」 共立出版 第1章 §4~6 梅沢敏夫・後藤達生 共著 「複素数と幾何学」 培風館 6章 円々変換 「代数学講義」の方が説明は丁寧だと思いますが、「複素 数と幾何学」の方が簡潔で、短時間で調べ上げるにはそちら の方が良いと思います。また、「複素数と幾何学」の方は、複素平面を用いて豊富な幾何の解説をしています。私は他に この様な本を見たことがありません。ご参考までに。 質問135に対する1つの解答例 w = ( z - i ) / ( z - 1 - i ) より z = { ( 1 + i ) w - i } / ( w - 1 ) | z | = 1 に代入して | { ( 1 + i ) w - i } / ( w - 1 ) | = 1 | ( 1 + i ) w - i | = | w - 1 | | ( 1 + i ) w - i |2 = | w - 1 |2 ________ ___ {(1+i)w-i}{(1+i)w-i}=(w-1)(w-1) _ _ {(1+i)w-i}{(1-i)w+i}=(w-1)(w-1) これを整理して、 _ _ ww+wi-wi=0 _ _ ww+wi-wi+1=1 _ (w-i)(w+i)=1 ___ (w-i)(w-i)=1 | w - i |2= 1 | w - i | = 1 よって、w の動く軌跡は i を中心とした半径1の円。 wの絶対値の最大値は2でそのとき w = 2i 。 1行目の式に代入して、z = 4/5 +3/5 i