質問<1151>2003/3/11
高等学校の数学で、 数学IとA,数学IIとB...とありますが、どうちがうのですか?
お返事2003/3/11
from=武田
平成15年度から始まる新教育課程の 「数学Ⅰ」と「数学A」、「数学Ⅱ」、「数学B」について答えると、 高校カリキュラム(数学)批判から抜粋 内容の要点 ①「数学Ⅰ」は3つのテーマを扱う。 ・方程式と不等式 ・二次関数 ・図形と計量(三角比) 今までの数学Aにあった「数と式」が数学Ⅰに復活したと言ってよいだろう。 高校数学の入門期の数学砂漠からの解放を唱って、「数と式」は数学Aに移った はずなのに、現場の実態(数学Ⅰの前に数学Aの「数と式」を先に学ぶ)に追随 するようにして、またもや復活した。これにともない、「方程式と不等式」の理 解が、「二次関数」のグラフ無しで展開するため再びできない生徒が急増するだ ろう。 また、この数学Ⅰは「個数の処理」と「確率」がはずされたので、現実的なも のとのむすびつきがいっそう弱くなり、抽象的な数学の低いレベルのものだけに なっている。この数学Ⅰだけで履修を終わる生徒にとって国民的な共通教養とし ての数学というにはおそまつとしかいいようもない。 ②「数学A」は3つのテーマを扱う。 ・平面図形 ・集合と論理 ・場合の数と確率 中学校から移行される図形領域の内容も「平面図形」には含まれる。「確率」 の問題は、意味(場面)を把握し、数学の問題として問題設定をする総合的なち からを養うのによい分野である。 ③「数学Ⅱ」は4つのテーマを扱う。 ・式と証明、高次方程式 ・図形と方程式 ・いろいろな関数 ・微分積分の考え いまより標準単位数が増加した。いまの「関数の値の変化」から「微分積分の 考え」と名称に微積分がもどってきた。今までのような難しい微積分ではなく、 意味の理解できるような微積分になるよう自主編成が望まれる。国民的な共通教 養としての数学にふさわしい微積分の展開が大切である。 ④「数学B」は4つのテーマを扱う。 ・数列 ・ベクトル ・統計とコンピュータ ・数値計算とコンピュータ コンピュータを扱う科目は数学では、数学Bだけになってしまった。いまの数 学と比べると様変わりである。教科「情報」ができたせいでもあるが、数学Bで の扱いは現実的には困難となるだろう。パソコン室が1つしかない現状では、「情 報」と授業がかち合い実施が困難となるからである。また、数学科の教員が教科 「情報」の指導をする羽目にもなりそうで、多難な時代が来そうである。